第2章 LPガスとスマートハウス
LPガスを活用した新しいスマートハウス
スマートハウスとは、高気密・高断熱を施した省エネ住宅に、家庭用燃料電池や太陽光発電、蓄電池などの機器を備え、それらをHEMS(Home Energy Management System)によって効率的に管理・制御を行うことによって、ご家庭へのエネルギー供給を安定的かつ効率的に行う新しいシステムを搭載した住宅です。気象条件によって出力が不安定な太陽光発電を燃料電池による発電で補完することにより、省エネ性と快適性、さらに売電によって経済性も確保することができます。
近年、このスマートハウスの主要なエネルギー源としてLPガスを採用した新しい住宅が誕生しています。それらの住宅は、災害等により系統電力や都市ガスの供給が途絶した場合でも、容器に残存しているLPガスを消費することによって自立的にエネルギーを供給し続けることができるように設計されており、災害時の対応力を格段に向上させています。このLPガス版スマートハウスは、災害時のエネルギー安定供給と省エネ・省CO2性を両立させた次世代型住宅として、既にその普及が始まっています。
LPガスを活用した新しいスマートハウスシステム
レジリエンス住宅
株式会社LIXIL住宅研究所が開発した「レジリエンス住宅CH14」は、「電気、ガス、水道等の供給が長期に停止する大災害などの非常事態でも約1ヶ月間自立できる家」をテーマとして、太陽光発電に加えて、LPガスによる家庭用コージェネレーションシステム(エコウィル)を採用しています。エコウィルは系統電力の途絶時に手動で運転を開始し、電気を供給します。またLPガスの残量を自動で管理し常に十分な量のLPガスが確保されるようになっているため、災害時でも安心して使用することができるように設計されています。
エネルギー自立型マンション
レモンガス株式会社が神奈川県相模原市に建設したエネルギー自立型マンション「ALFY橋本」は、LPガスコージェネレーションシステムを核として、太陽光発電や蓄電システムを備えた初の次世代型マンションです。このマンションは、系統電力が途絶した場合でも、LPガスコージェネレーションシステムと太陽光発電によって平時の約70%の電力をまかなうことができるように設計されています。