Clwan & Powerful LPガス読本 Clwan & Powerful LPガス読本

第7章 LPガスの安定供給

日本のLPガス需給

LPガスの需給推移

日本国内で燃料として最初にLPガスが使用されたのは、1929年(昭和4年)、有名なツェッペリン伯号の飛行船が飛来した時と記録されています。この時は、プロペラ推進エンジン用の燃料としてLPガスが使用されていました。

LPガスが家庭用燃料として使われ始めたのは1953年(昭和28年)ごろからで、当時の家庭用燃料の主流であった薪、炭、練炭に代わって、取り扱いが便利でハイカロリーなエネルギーとして、LPガスが急速に普及しました。その後、家庭業務用を中心に産業用や自動車用(タクシーの燃料)で需要が増大し、オイルショックによる一時的な需要の低迷はあったものの、1996年(平成8年)にはピークとなる約1,970万トンを記録しました。しかし、それ以降は日本経済の低迷等により産業用部門等を中心に需要が減少し、現在のLPガス需要量は約1,393万トン(2019年度実績)となっています。

飛行船「ツェッペリン伯号」(写真提供:毎日新聞社)

昔のタクシー (写真提供:毎日新聞社)

日本のLPガス需要の推移

LPガスの用途別需要

LPガスは家庭業務用、工業用、化学原料用、都市ガス用、自動車用及び電力用として幅広く使用され、国内最終エネルギー消費量の約3.7%(2018年実績)を占めています。

最も多いのは家庭業務用で43.0%、工業用で21.8%化学原料用で20.4%となっています。

身近なLPガスの使われ方として、タクシー等のLPガス自動車の燃料として、都市ガスの熱量調整用として、化学原料用はエチレンやプロピレン等の化学製品の原料として、電力用は電力会社のバックアップ燃料として、使用されています。

日本のLPガス用途別構成比率(2019年度)

日本のLPガス供給

LPガスが普及し始めた当初の供給は国内の製油所で精製され生産されたLPガスでした。そのため、当時のLPガスは他の石油製品の副産物という位置付けになっており、LPガスの供給量は季節や製油所の稼働状況等によって異なり、非常に不安定となっていました。

1961年(昭和36年)12月、急速に進展するLPガス需要の増加に対し、生産品だけでは供給等の対応が困難になってきたことを受け、海外からのLPガスの輸入が始まりました。その後需要の増加に合わせて輸入量も年々拡大し、直近では国内で消費されるLPガスの75.8%(2019年実績)が輸入品となっています。

2019年度に日本国内に輸入されたLPガスは約1,072万トン。LPガスの輸入先はアメリカが約788万トン(74%)と最も多くなっています。中東産ガス国(サウジアラビア、クウェート等)からの輸入量が約155万トンとなり、2019年度LPガスの中東依存度は14.4%に低下しました。中東依存度は2007(平成19)年度に過去最高の91%にまで達しましたが、LPガス輸入元売会社の努力とともに、アメリカからのLPガス輸入を本格的に開始させ、調達先の多様化に取組んだ結果といえます。

国別LPガス輸入構成比率(2019年度)

(出典:日本LPガス協会)

LPガスの中東依存度の割合